映像の影響力。
会社の人たちとの何気ない会話のなかで、今のタイの物騒さに関する話題になった。
確かに今のタイは、デモや騒乱で物騒だ。
ただ、彼らが抱いているタイのイメージは、それはそれで現実と大きくかけ離れていて、何だか悲しくなってしまった・・・。
特にボクがショックだったのは、映画『闇の子供たち』を観たというウチの社員が思い描いているこんなタイの印象。
8歳で売られた姉は外国人の性玩具にされ、最後はエイズ罹ってゴミ袋に入れられ捨てられてしまう。
妹も8歳になると売られ、日本人男児の心臓移植のドナーとして、病院に連れて行かれてしまう。
タイはこんなに貧しく、モラルが低い国。
この作品の原作は小説だ。
小説というのは、フィクション。
作り話。
なのに宣伝では「幼児の人身売買、売春というショッキングな真実を描いたノンフィクション映画」と、ノンフィクションを強調している。
これ、どうやら『ノンフィクション』という言葉は、世界のどこかで起こっている事実という意味での『ノンフィクション』らしいのだが、映画の中ではそんな説明一切されていないから、コレがタイで今現在行われている『ノンフィクション』だと思われてしまう。
なんかこの映画、悪意を感じるなぁ・・・。
報道とか映像って影響力が凄いんだから、定かでないものを真実であるかのように伝えるのはやめてほしい。
少なくとも先述のウチの社員は、この映画を“作者がきちんと裏付けをとったノンフィクション”と錯覚している。
これは大変残念なことだ・・・。